月刊アミューズメントジャパン(26年9月号)掲載
2026.08.20
TikTok広告のアップデートで変わるホールのWebマーケティング
前回の振り返りと今回のテーマ
- 当連載第53回(6月号)「TikTok広告の進化とホールにおける新たなマーケティング戦略」では、TikTok広告がパチンコホールのWebマーケティングにもたらす可能性について解説
- 今回は制度変更や広告運用環境のアップデートを踏まえ、パチンコホールがTikTok広告をどう活用すれば成果につながるかを解説
広告配信対象年齢の拡大とその狙い
- 押さえておきたい変更点:広告配信の対象年齢が若年成人層まで広がったこと
- 背景には、TikTokが持つ若年層への高いリーチ力を広告配信でも最大限活用しようという狙いがあると考えられる
- 現在の18〜20代は、テレビCMよりもスマートフォン、Google検索よりもSNSで情報を収集することが当たり前の世代であり、その特性に合った指標で評価する必要がある
重要指標「6秒視聴率」とは
- 動画を6秒以上視聴したユーザーの割合を示す指標で、TikTokでは広告クリエイティブの良し悪しを判断する重要なKPIの一つ
- 平均的な6秒視聴率は6〜10%程度とされ、この数字をどれだけ高められるかが広告品質を左右する
- 視聴率を決める最大のポイントは「最初の2秒」:TikTokユーザーは興味がなければ瞬時にスクロールするため、最初の2秒で「続きを見たい」と思わせられなければその先の情報はほとんど届かない
- 6秒視聴率を高めるには「店舗ロゴや店名、新台情報やイベント内容を分かりやすく伝える」という従来の発想ではなく、「見たくなる動画を作る」という発想の転換が必要
- TikTokユーザーは広告を見に来ているのではなく、楽しめるコンテンツを見に来ている。「広告らしい動画」ではなく「コンテンツとして面白い動画」が最後まで見られる傾向にある
- 例:大当たりの瞬間や新台紹介を一方的に見せるより、店舗の雰囲気やスタッフの人柄、遊技を楽しむ様子などが伝わる映像の方が視聴されやすい(他業種でも同様:飲食店はシズル感、旅行会社は設備でなくその場所に行ってみたい感情を訴求)
リターゲティング施策への対応が可能に
- これまでパチンコ業界ではTikTokの広告ポリシー上の制限からリターゲティング施策を十分に活用できなかったが、現在は広告運用環境が整備され、一定条件のもとで広告戦略に組み込めるように
- 「単純接触効果(ザイアンス効果)」の考え方:人は接触回数が増えるほど親近感や安心感を抱きやすくなるため、一度興味を持ったユーザーへ再び情報を届けることには大きな意味がある
- 複数回接触し、そのたびにブランドへの理解や安心感を積み重ねていくことで来店という行動につながる
- TikTok広告は認知獲得だけでなく、その後の関係構築まで担えるメディアへと進化している
成果指標(KPI)設定の注意点
- 運用上見落とされがちなのが「何を成果指標にするか」という視点
- 来店数やクリック数だけを見て広告を評価してしまうケースは少なくない
- TikTokは認知と興味喚起の場で過ごす体験を映像化するメディア。「楽しそう」「入りやすそう」「また来たい」と感じてもらえる体験価値を動画で表現することが重要
- パチンコホールも機種スペックやイベント情報を伝えるだけでなく、「体験を売っている」という視点が重要
クリエイティブの質を高める工夫
- TikTokは音声ONで視聴される割合が高い媒体:BGMや効果音、ナレーションまで含めて設計することで動画の没入感は大きく変わる
- 広告費を増やすことよりも、クリエイティブの質を高めること、特に冒頭2秒で惹きつけ6秒間見続けてもらえる動画を作れるかどうかがTikTok広告の成果を大きく左右する
まとめ:広告配信から体験設計の時代へ
- TikTok広告の本質は配信技術ではなく、動画を作り店舗との接点を育てること、視聴者の心を動かすことにある
- これからパチンコホールに求められるのは「広告を配信すること」ではなく「ブランド体験を設計すること」——広告を届ける時代から動画体験を設計する時代へ
- TikTok広告は単なる集客ツールではなく、ブランドを育てるメディアと言える。その発想の転換こそが、これからのパチンコホールのWebマーケティングを大きく左右するといえる
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