メディア 連載

月刊アミューズメントジャパン(26年10月号)掲載

2026.09.25

「推し活」を起点に考えるアニメIP機の新しい集客動線

アニメIP機の増加と「推し活」への注目

  • 直近でも『eソードアート・オンライン アリシゼーション夜空』『eリコリス・リコイル』『スマスロ とある魔術の禁書目録2』など、若年層にも認知度の高いアニメ・マンガIPを活用した機種が数多く登場している
  • こうしたIPをホール側でも「推し活」を起点に考え、活用する方法についてまとめた記事

Z世代の推し活実態調査

  • 双葉社が18歳から30歳の男女327人を対象に実施した調査では、「推しがいる」と回答した人は79.1%
  • 推し活として行っていることでは、「作品を繰り返し楽しむ」が74.3%、「グッズを購入する」が64.0%、「友人・知人に薦める」が32.2%となっている
  • 推し始めたきっかけでは、「ビジュアルに惹かれた」が70.1%で最多となり、「ストーリーでの活躍やエピソードに感動した」が59.4%、「性格や言動に共感した、または魅力を感じた」が54.4%だった

ファンが惹かれているのは作品タイトルだけではない

  • ここから分かるのは、ファンが惹かれているのはキャラクターの見た目や性格、作中での立ち位置、印象に残る場面など、より細かな要素だということ
  • こうした感情移入の積み重ねが「推す」という行動につながっている
  • さらに、推すことが多いキャラクターでは「主人公以外のメインキャラクター」が50.6%で最多、「主人公」は28.7%だった。つまり、推し活を起点にマーケティングするのであれば「この作品が好きな人」という大きなくくりではなく、「誰を推しているのか」まで踏み込んで設計する必要がある

LPは単なる遊技機の説明ページではなく、原作と遊技機をつなぐ情報メディアとして設計する

  • 推しがいるファンにとっては、「どこで登場するのか」「好きな場面は収録されているのか」「あのシーンはどう再現されているのか」といった情報にこそ関心がある
  • 機種専用LPを早く遊技機との情報の出発点として設計することが、原作ファンや推し活をしている人がどのキャラクターがどの演出に登場するのか、印象的な名シーンが機種ではどのように表現されているのかといった情報を整理するモデルになる

SNSは「専用LPへ誘導する」ための接点として活用する

  • この受け皿が整ったところでSNSを動かす。SNSの役割はすべてを説明することではなく、ファン一人ひとりの「好き」に近づいた形で、ファンの感情に近いテーマから興味を喚起していくこと
  • 例:「このキャラクター推しなら見逃せない」「原作のあの名シーンがこう表現されている」といった、台設置情報だけでなくキャラクターや印象的な場面を主語にした発信で興味を増やす
  • 接点としてはX、Instagramに加え、TikTokも積極的に活用したいところ。重要なのは、パチンコのスペックを細かく説明するのではなく、キャラクターのビジュアルや印象的なセリフ、楽曲、遊技機ならではの表現などを短尺コンテンツとして見せる方が相性は良い

店内体験とグッズによる推し活の深化

  • SNSからLPへ誘導した先にあるのが店内体験。実際に遊技機の中で推しキャラクターや好きな場面に触れてもらい、その体験を深める要素としてグッズや装飾を組み合わせる
  • 推し活調査では「グッズを購入する」が64.0%に上っており、グッズとの親和性は高いと考えられる
  • ただし、作品全体を一括りにするのではなく、主要キャラクターが複数いるので、それぞれに対応したグッズや、シーン・名場面・エピソードをモチーフにしたバリエーションを用意することが重要
  • 自分の推しがあると感じられる状態をつくることが、推し活を意識した展開につながる

SNS映えするブースづくりの重要性

  • 店内ブースも同様に、単にキャラクターパネルを置くだけではなく、作品の世界観や名場面を感じられ、思わず写真を撮りたくなる空間をつくることが重要
  • 推し活には「自分はこれを推している」と表現したい気持ちもあるため、誰かに見せたくなるところまで設計することに意味がある
  • その体験がSNSに投稿されれば、投稿を見た別のファンが興味を持ち専用LPを訪れ、さらに店舗へ向かうという循環が生まれる

提案:アニメIP機の新しい集客動線モデル

  • 「専用LPをつくり、SNSで推しを起点に興味喚起→LPへ誘導→店内体験→SNS投稿へ再循環」というマーケティングモデルを提案
  • ポイントは、SNSから始めないこと。原作ファンや推し活をしている人が訪れたときに、興味を深められる受け皿を先につくり、その準備が整ってからSNSで流入をつくる
  • その受け皿になるのがアニメIP機種専用のランディングページ。一般的な新台紹介ページとは違い、大当たり確率やRUSH突入率といったスペック中心ではなく、IPに特化した情報サイトのようなページにするという考え方
  • SNSを単なる来店告知の媒体ではなく、LPと店舗をつなぐ仕組みの一部として機能させるという考え方

まとめ

  • 推し活を起点にしたマーケティングで大切なのは、できるだけ多くの人に広く「この作品が好き」という大きなくくりから伝えることだけではない
  • 「このキャラクターが好き」「この場面が好き」というところまで解像度を高め、一人ひとりの感情にどこまで深く刺さることができるかが重要
  • 専用LPをつくり、SNSで推しを起点に興味を喚起し、LPへ誘導し、店内で体験してもらい、その体験を再びSNSへ戻していく——こうした循環をつくることに、アニメIPをさらに活かすホールマーケティングの可能性があると考えられる

Web版:アミューズメントジャパン公式サイト