こんにちは!リスペクトマインド(株)の武内臣介です。
10月のコラムでは【弱者の差別化戦略≪今こそ!営業スタッフ育成のチャンス!!】という内容を書きました。
その後、2025年11月13日に全国遊技ビジネス振興会でセミナー登壇し、『AI時代のファン化プロセス:人材×戦略の再設計が業績を上げる』というテーマで“業績貢献型スタッフの育成”を中心に、現在の情勢の中で実施するべきことをお伝えしました。
業績貢献型スタッフの育成は、営業スタッフだけではありません。
業績に貢献するための『増客プロセスの全体像を把握し、戦略から戦術に落とし込み、実際の戦闘(現場)で成果を出す』ことを理解して行動するスタッフです。
業績貢献型スタッフは、幹部・店長・一般社員・アルバイトスタッフという役職は関係なく、『自分が担っている仕事が、業績向上のどの部分を目的にしているかを理解して行動するスタッフ』となります。
セミナーの中でベテラン経営者の方が、「厳しい状況の時ほど、基本に立ち返って営業を見直すことが大事だと改めに気づかされた!」ということを話していました。
そこで、今回は【稼働が上がりにくい『今』、お店がやるべきこととは?】について、「基本に立ち返る」ことをお伝えします。
これは1年の暦の中でも、短期間では1カ月の中でも基本的な考え方は同じですが、知っているのと知らないのでは営業施策の取組み方が大きく変わります。
政治は経済に優先する!
「政治は経済に優先する!」という言葉があります。
これは、経済活動は政治の方向性に大きな影響を受けるというものです。
大きな流れとしては約30年間の人口動態の変化、税などの国民負担率の上昇、各世代の可処分所得の変化などなど、国民一人一人の経済状況は政治の方向性に大きく左右されます。
更に、直近では物価上昇率に対して給与の上昇率は追いついていません。
当然ですが、生活に関わる消費が優先されるので、生活費を差し引いた可処分所得はジワジワと下がり続けています。
このような物価上昇のタイミングは、『稼働がなかなか上がらない時期』であり、どちらかというと下がる傾向が強い状況になります。
これはパチンコ業界に関わらず、飲食店なども直接的な影響が大きくなります。
ちなみに、現状はコストプッシュ型のインフレなので、国内企業は儲けが増えるものではありません。
儲けが増えなければ給与も上げられない99.7%の中小企業従事者は、最低時給が上がって社員給与が若干上がっても、物価上昇に対応できる所得にはなりません。
(細かい要因は他にもありますが、この内容はこれくらいで)
物価上昇以外にもパチンコ店に影響するもの
過去には『リーマンショック・震災・コロナ』のような大きなものや、毎年の台風なども当然ですが影響します。
梅雨や雨の日も同様ですが、パチンコ店の来店に関してはお客様の『お金事情』も普通に影響しています。(当たり前のことを書いています)
お金が少なくなる給料日前や年金支給日前は来店数が減り、給料日後や年金支給日後は来店数が増えるのも1年の中で繰り返しています。
また、毎年のことですが9月以降は1年の中でも市場が停滞するタイミングにもなります。
昨今だと「1円や低貸しのお客様離れが・・・・」という話を現場でも聞きますが、年金受給者となる多くの1円ユーザーのお客様は、食品の物価上昇に大きな影響を受けています。
新機種の貢献週が短くなるのは必須!?
商売の基本中の基本は『需要と供給』が大前提にあります。
需要はお客様の使えるお金で、供給はそのお金を使ってもらう商品やサービスの量です。
1人当たりの使えるお金の量が減れば、お客様の絶対数は減っていなくても、来店回数や滞在時間は減少します。
20代や30代の方々は、物価が上昇しても相対的に可処分所得が多い傾向がありますが、若い子育て世代や50代以降の高校生や大学生がいる家庭では可処分所得が『供給量に耐えられない』状態が続いています。
大きな流れの中での傾向としては、『需要を上回る供給過多になれば貢献週は短くなる』のは当然です。
景気は回復するのか?
暗い話ばかりなので少しだけ景気について書こうと思います。
現状の政府が目指している方向性と、AIの活用が進むことで景気が回復していく可能性が高くなると考えています。
使えるお金を減らす増税路線が続けば難しくなりますが、それでもAI活用で商売のあり方が変わる可能性があります。
条件が一つだけあって、『AIで効率化させて人件費を減らす(人員削減)のではなく、余剰人員で次のビジネスへ投資する』ことです。
例えば、人手不足で困っている企業と人材交流で仕事を受けたりするようなケースは昔からあります。
新規事業を社内でアクティブに起こしていくのも一つの手になります。
働く人の所得を増やす企業のチャレンジと人材のチャレンジが活発になることが望まれます。
ちなみに、景気の要は『民間最終消費』です。
GDPの構成要素のうち民間最終消費(民間消費)は2024年で54%です。
この数字を増やすような政策を政府は実施して欲しいところです。
そこで!【稼働が上がりにくい『今』、お店がやるべきこととは?】
給料日前でお金が無くても、「お金が入ったらあの台を打ちに行こう!」
今は忙しいので行けないが「時間が空いたらあの台を打ちに行こう!」
私たちの商売は『お客様の懐事情×遊ぶ時間』が少なければ来店確率は減少します。
来ないときに無理やり来させようとしても、それは難しい課題になります。
市場のお客様数が減少するとき、残ったお客様が「どのお店を選択するか?」になりますが、20代から30代くらいのアクティブな方々が選択する傾向にもヒントがあります。
ただし、お店の営業施策で市場のお客様数が減少した時の選択肢は、『市場のお客様が1年の中で多いときも含めて、お店の営業施策に対する価値認知の結果』になります。
よって、慌てて何かをやったとしても、その営業施策を知ってくれる絶対数と、営業施策の価値を認知してくれなければ効果は半減します。
今やるべきことは、
『お客様の事情による、お客様が来店できるタイミングのとき、「あのお店の○○を打ちたいから行く」という気持ちを喚起しておくこと』が最優先事項です。
お金が無ければ来ない、お金がある時に来るのだから、お金が無い時にやることは、お金があるときに来るための仕掛けというサイクルを大切にするというものです。
次にやるべきことは(何度もコラムで書いていますが再度)
①増客プロセスのチェックと見直し
⇒『市場の潜在顧客開拓』『見込み顧客の集客』『新規顧客の獲得』『既存顧客のリピート強化』『定期接触による顧客の再来店促進』の各段階で、自店が他店に比べて弱いところやボトルネックになっているところを徹底的に見直します。
強いところは、どうすれば更に強化できるかの改善も考えます。
⇒特に、市場が低迷して他店よりもお客様が減少する店舗は『見込み顧客の集客』『新規顧客の獲得(来店時)』が弱い傾向があります。(市場が良い状態の時には露呈しなかった弱点の克服をすることです)
⇒市場低迷の時期から、コツコツと自店の営業施策を整えて価値認知を高めていくことが大切です。
②戦略シナリオのチェックと見直し
⇒店舗の外部印象(やる気感があるかなども含めて)、店内の内部印象から、『新規顧客の獲得施策(会員獲得など・リピート促進)』や『既存顧客リピート強化』を中心に見直しを行います。
⇒来店したお客様が「このお店いいね!」「次は○○を打とう!」「仕事帰りにもワンチャン狙える機種が見つかった!」などなど、お客様が体験する視点(コト視点)で営業施策を価値が伝わるものに見直し、次回の来店促進確率を高めることを目指します。
③お客様体験価値ストーリーの見直し
⇒お客様がSNSや店舗からの情報を受け取り、お店に来店したときから、お店を退店するときまでの流れで、「また来よう!」となるような店内で体験する価値を見直します。
プロモーションだけでなく、スタッフの雰囲気や対応、店内での装飾など『体験することに価値を感じるレベル』で実施します。
⇒入店から退店までの流れをチェックし、『どの場所で何を伝え、どのような取組みで何を感じてもらうか』を見直します。
簡単に書きましたが、お店の魅力レベルを高める取組みは基本中の基本として見直します。
これが、市場が良くなったタイミングで集客やリピート効果を高めるものになります。
※基本的には、1年を通して実施する内容に落し込めると改善向上サイクルが機能します。
おわりに
『価値認知』というのは、知っていればタイミングがいいときに来店する動機になります。
重要な点は、『価値を認知している状態』で、『価値は感じ無いが認知だけしている状態』では来店動機にはなりません。
11月下旬なので、年末年始の営業施策もお正月明け以降の来店増を目指した取組みとして不足していることを強化する必要があります。
個人的には、現在のパチンコやスロットは、「打ちたくなる機種」「レパートリーにしたい機種」がいろいろあります。
しかし、ライトユーザーの方々がこのような機種を『知らない』場合は、その機種が来店動機にはならないというのが当然のことです。
メインの人気機種は当然として、デカスタやBT機もなかなか魅力的な機種だと思っています。
そのような機種を『伝える』という視点ではなく、『伝わる』という視点で全体の取組みを見直すことが、年末年始の営業にも効果を発揮します。
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