2026.05.08

「お盆前」3ヶ月で勝負は決まる──5-7月を基盤整備期と位置づけよ

いつもCFYコラムを御愛読いただきありがとうございます。船井総研 渡邊龍信です。

GWも明け、初夏の入り口にさしかかる時期になりました。皆様の店舗もそろそろお盆商戦の絵を描き始めている頃ではないでしょうか。今月のコラムは、その「絵」をいつ・どう描くかという話です。正直なところ、ここを軽視するホール様が本当に多いです。

4月の売上動向(貸玉別 日売比率)

先月対比:

4P100%
1P99%
20S99%
5S99%

前年対比:

4P96%
1P94%
20S99%
5S102%

数字を見れば一目瞭然ですが、スロットは前年水準を維持、パチンコは前年比4%減・前月比維持。「全レート総崩れではない」のではなく、「P減S維持の構造が固定化した」と読むべきです。1円Pまで前年比94%まで沈み込んでいるのが今の現実です。GW明けの5月から夏にかけてが、まさに勝負の準備期間です。

お盆「当日」ではなく「お盆前」で勝負は決まる

毎年同じことを言いますが、繁忙期は当日に始まるわけではありません。5月・6月・7月のホップ・ステップ・ジャンプで基盤を作り切ったホール様しか、お盆で結果を出せていない。これは現場で何度も検証されている事実です。

例えば、大型新台が発表されたら導入前に「先行増台」で旧機を強化し、「新旧対決」企画として期待値を3〜4週間前から長期告知する。転生の前に旧北斗、カバネリの前にカバネリ既存島、戦国乙女、からくり——どれも同じ構造です。当日のシグナル一発で集客できる時代ではありません。期待値は「育てるもの」です。

ある法人様の周年では、創業・創立を絡めて1ヶ月の長期告知を回した結果、当日の単発勝負に頼らずに数字を積み上げました。「お盆当日に何を出すか」ではなく、「お盆までの3ヶ月で何を伝え続けたか」。ここが勝敗を分けます。

「外部イベント頼り」の時代はもう終わっている

ここで気をつけたいのが、外部イベント・取材依存です。取材規制・チクリ増加で、外部に頼った集客は明確にリスクになりつつあります。

正直に言うと、外部イベントは「告知の借り物」です。借り物だから、規制が入った瞬間に何も残らない。やるべきは自社企画力の内製化です。コーナー命名、時間打ちシグナル、メイン島への単台挿入、抽選下位番号の受け皿設計、どれも当たり前のように聞こえますが、企画として設計され、ルール化されているホール様は驚くほど少ない。

「意図したバラエティ」を作れているか。「自然増殖型」のバラエティはバラエティではなく、ただの寄せ集めです。

スロットを「専任で回せる組織」が次の勝ち筋

スロットが好調な今、最大の差別化要因は機械ではなく運用する人です。前年比120%を超えているホール様に共通しているのは、スロット専任者を置き、Aタイプ担当・AT担当を複線化していること。設定・接客・販促を一貫して担当させ、月2回のプレゼン機会を設けて選抜・昇格まで回しています。

過去に何度も言ってますが、「ユーザーより知識がないのが担当者はおかしい」と思ってます。

ここで上位者が過干渉に介入すると、若手は永遠に育ちません。権限委譲と失敗の許容。それが組織です。AIナレッジを配布して若手の自走学習を支援するホール様も増えてきました。組織の成長は、結局のところ人にしか宿りません。

パチンコ粗利を再設計しないと、スロット好調でも沈む

最後に、最も深刻な構造問題を指摘します。直近の実数値で、1パチ前年比-15%、4パチ-20%、20スロ+15%でもトータル赤字というケースが多発しています。スロットがどれだけ伸びても、パチンコのベース粗利が崩れたら全体が沈むんですよね。

ここで安易にイベント偏重に走ると、パチンコの粗利率が18%→22%→24%→30%と段階的に上がっていき、最終的にはスロットはよくてもパチンコのせいで昨対割というのが多いです。ガードレール(粗利率の上限ルール)を組織として設定する。これはトップが決断する仕事です。

4円・1円・20スロ・5スロ。それぞれの役割を明確にしないまま「粗利を取りに行く」のは、かなり厳しい戦いが続いていくことが予想されるので、今年は何がなんでもパチンコを元に戻しながら、スロット強化ではしれるようにしましょう。

まとめ:5-7月で「次の半年」が決まる

今回のコラムで言いたかったことは一つです。お盆で勝つ店舗は、5月から準備をしています。

5-7月を「基盤整備期」と位置づけ、(1)新旧対決企画と長期告知、(2)スロット専任体制と若手育成、(3)パチンコ粗利の再設計——この3つを並行で進めてください。当日勝負・外部依存・現場の感覚——どれも、もう通用しません。

厳しい時代だからこそ、3ヶ月先を設計できる経営が残ります。GW明けの今が、その仕込みの最初の1日です。

渡邊 龍信
株式会社船井総合研究所 アミューズメント支援部 シニア経営コンサルタント パチンコグループマネージャー 渡邊 龍信
国立大学 理学部数学科卒業。国立大学大学院 応用数学科卒業。アミューズメント支援部新卒入社史上最年少でチームリーダーに着任から、最年少でグループマネージャーに着任。400台以上の大型スロット専門店立ち上げ実績は10件以上携わっており、スロット増台成功実績は40件以上、多数の20円スロット業績アップ実績をもっている。直近2年間の高射幸機に頼らない増収増益方法を指導しており、20円スロットの業績アップの実績は、元スロプロで培った超ユーザー目線と、大学での数学の知識を駆使した数理マーケティングで「 高精度な 」時流予測とスロット機種分析によって実現している。