皆様、こんにちは。
社会保険労務士の齊藤です。
今回は「両立支援等助成金」という助成金に関するコラムになります。
両立支援等助成金とは
両立支援等助成金とは「仕事と家庭の両立」や「女性の健康課題の対応」に注力している企業を支援するための助成金で、ここ数年、コースの追加や支援の加算など拡充傾向にあります。国が「仕事と家庭の両立」や「女性の健康課題の対応」について強く意識していることが背景にあると考えられますが、「仕事と家庭の両立」や「女性の健康課題の対応」は企業活動における課題のひとつとして、多くの企業が向き合っている事案と思われます。この助成金の活用をご検討いただくことにより解消できる課題があるかもしれません。
以下、一部ではありますが、2026年度の両立支援等助成金の主なコースと支援になります。
出生時両立支援コース
男性社員が育児休業を取得した場合や、男性社員の育児休業取得率が上昇した場合に支給。
- 育児休業取得時:1人目20万円、2人目・3人目10万円
- 育児休業取得率の上昇:60万円
育児休業等支援コース
計画を立てて社員の円滑な育児休業の取得、職場復帰に取り組んだ場合に支給。
- 育児休業取得時:30万円
- 職場復帰時:30万円
介護離職防止支援コース
計画を立てて社員の円滑な介護休業の取得、職場復帰に取り組んだ場合等に支給。
- 介護休業を取得&職場復帰:40万円
- 介護両立支援制度の利用:20万円~25万円
- 介護休暇制度を有給化し社員が利用:30万円
不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース
不妊治療、月経、更年期といった健康課題に対応するための両立支援制度を社員が利用した場合に支給。
- 不妊治療のための両立支援制度を5日(回)利用:30万円
- 月経に起因する症状への対応のための支援制度を5日(回)利用:30万円
- 更年期に起因する症状への対応のための支援制度を5日(回)利用:30万円
上記の内、出生時両立支援コースや育児休業等支援コースは、実際に想定される機会も多いと思われ、また、活用しやすい制度設計になっていますのでお勧めのコースではあります。
一般事業主行動計画が一部コースで必須に
所定の計画届は不要
通常、助成金を活用する場合、例えばキャリアアップ助成金の「キャリアアップ助成金計画書」のように事前に所定の計画届を労働局に届け出ておく必要があります。その届出を行っていないと、他の要件を満たした状態で助成金を支給申請したとしても受給することはできません。一方、両立支援等助成金には、その所定の計画届に当たるものはなく、要件を満たした段階で支給申請する形式となっています。しかしながら、所定の計画届はないものの一部コースにおいては別途支給申請までに届出をしなければならない手続きがあります。それは「一般事業主行動計画」という名称の手続きになります。
一般事業主行動計画とは
一般事業主行動計画は、両立支援等助成金自体を根拠として策定、届出が求められているものではありません。次世代育成支援対策推進法(以下「次世代法」)と、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(以下「女性活躍推進法」)という2つの異なる法律がありまして、それら法律に基づいて策定、届出が求められているものになります。なお、下記に該当する場合は、策定、届出が義務となっています。
- 次世代法の一般事業主行動計画:常時雇用する労働者が101人以上の企業
- 女性活躍推進法の一般事業主行動計画:常時雇用する労働者が101人以上の企業
名称は同じだけど別物
名称はともに一般事業主行動計画ではありますが、別々の法律を根拠としているため別物になります。ここは非常に混同しやすい点で、両立支援等助成金の活用を契機に一般事業主行動計画の策定、届出に着手される場合は、予備知識の不足等から勘違いをしてしまう可能性がある部分ではないでしょうか。本助成金の制度上、出生時両立支援コースや育児休業等支援コースを支給申請する場合は、次世代法に基づく一般事業主行動計画が必要となります。女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画ではありませんので十分に注意が必要です。ちなみに、それぞれ「一般事業主行動計画策定届」という所定様式がありますが、レイアウトがほぼ同じであることも誤認しやすい要因と思われます。事前に様式番号等はご確認ください。
「公表」と「届出」
前述のとおり、両立支援等助成金の一部コースにおいては一般事業主行動計画の策定が必要となりますが、一般事業主行動計画は「公表」と「届出」を行う必要があります。この「公表」と「届出」は異なる手続きを指していて、「公表」とは「行動計画(所定様式なし)」を両立支援のひろば(専用サイト)や自社ホームページ等で公表をすることを表し、「届出」とは一般事業主行動計画策定届を労働局に届け出ることを意味しています。ここも非常に誤認しやすい点ですので注意が必要です。一般事業主行動計画策定届の届出をもって公表したことにはなりませんのでお気をつけください。
今回は両立支援等助成金について書かせていただきました。
出生時両立支援コースや育児休業等支援コースをご検討される企業様が多いと思われますが、上記でも書いたとおり、その際は次世代法に基づく一般事業主行動計画の策定が必要となります。また、支給申請の要件として、社員への制度周知、就業規則(育児介護休業規程)への規定、対象者との面談、実施期間の決まり等があります。活用される場合はあらかじめ厚生労働省のサイトにてご確認いただければと思います。
これからも、本コラムを通じて皆様へ有益な情報をお届けできればと思います。