いつもCFYコラムを御愛読いただき、誠にありがとうございます。船井総研 渡邊龍信です。
連日の猛暑、皆様の店舗も冷房と外気の戦いが続いているころかと思います。そしていよいよお盆。年内最大級の山が目前です。ただ、先に申し上げておくと、今月お伝えしたいのは「お盆の勝ち方」半分、「お盆の先」半分です。年末の機械戦線が、この1ヶ月でかなりはっきり見えてきました。
7月の売上動向
まず数字からです。
| レート | 先月対比 | 前年対比 |
| 4円パチンコ | 108% | 95% |
| 1円パチンコ | 103% | 100% |
| 20円スロット | 106% | 106% |
| 5円スロット | 103% | 106% |
| 全体 | 106% | 101% |
先月号で私は7月を「全体で前月比100〜102%の小幅戻し」と読みましたが、実際は106%。と来年の読みより強かったです。ボーナス商戦を軸に、7月は現場でも「どこの店舗も数字がいい」という声が本当に多かった。6月の谷から全レートが前月比プラスで反発し、日売合計は前年比101%と前年ラインを上抜けました。夏場の立ち上がりとしては順調です。
ただし、浮かれる前に前年比の中身を見てください。主要4レートで前年割れは4円パチンコ(95%)だけです。20円スロット106%、5円スロット106%、1円パチンコ100%。前月比の反発は「月替わりの潮」であって、パチンコからスロットへ資金が流れる構造は何も変わっていません。
もうひとつ、先月お伝えした1円パチンコの話に続報があります。6月に前年比95%まで沈んでいた1円が、7月は100%と前年並みまで戻しました。現場で聞こえてくるのは、やはり若い客層です。夜10時を過ぎてから連れ立って入ってきて、1万円ほど打ってダメならさっと帰る──そういう遊び方の30〜40代が直近で1円の島に増えている。「1円は高齢者の憩いの場」という前提で営業を進めている店と、若年の受け皿として作り直している店とで、同じ1円でも景色が全く違ってきています。数字はまだ「前年並み」ですが、客層の中身は確実に入れ替わっています。
7月の新台動向
7月に導入された主要新台21機種(パチンコ13・スロット8)を、同じ経過日数で比較するも21機種中15機種(71%)が、同期の新台「平均」にすら届いていません。
◎ e必殺仕事人VI(パチンコ) 1.59倍
→ 7月の首位。導入後も1.18→1.59倍と右肩上がり
◎ L戦国コレクション6(スロット) 1.32倍
→ 月を通じて順位を上げた唯一のスロット
△ Lからくりサーカス2(スロット) 1.07倍
→ まだ平均超えだが、減衰速度は7月組スロットで最速級
✕ ガルパン3・ワールドダイスター ほか 0.55〜0.68倍
→ 定着見込み薄。盆前の見切り候補
※新台平均比
見どころは三つです。まず必殺仕事人VI。初速の高さではなく、導入後に数字を伸ばした7月唯一のパチンコです(直近1週は高値圏で横ばい)。3週連続で貢献ラインを超えており、増やすなら中古相場が動く前、この1〜2週が判断期限だと見ています。
次にからくりサーカス2。数字上はまだ平均超えですが、初週からの維持率が56%と今年のスロットで最速級の落ち方で、7月16日以降は戦国コレクション6に逆転されたままです。ただし即撤去は早い。絶対水準はまだ中位以上なので、正解は「縮小して週次で監視」。改善がなければ8月末入替の筆頭です。売り方と台数でしっぺ返しをくらってますね。
8月の見通し──今年のお盆は「山が尖る」並びです
では8月です。昨年の実績では、8月の日売は7月比で全体103%、レート別では1円パチンコが107%と最も伸びました。お盆と夏休みは低貸の月なんです。今年もこの基調は変わらないと見ていますが、加えて今年はカレンダーの並びが特徴的です。
- 土日の数 8月は10日(7月は8日)
- 山の日 8/11(火)。8/10(月)に休みを取れば4連休
- お盆 8/13(木)〜16(日)=木金土日の並びで週末に直結
- 年金支給日 8/15が土曜のため8/14(金)に前倒し。お盆と完全に重なります
お盆の中日に年金支給が重なる。シニアの財布と帰省客の財布が同じ週に開く、数年に一度の並びです。全体では8月は7月比102〜104%、うち1円パチンコは105%超を見込みます。
そして、5月号から繰り返している通り、お盆は当日ではなくお盆前で決まります。ある店舗の設計を紹介すると、8/1にイベントを立て、8/7をあえて夕方開店にして翌8/8の初動へつなぎ、8/8〜11の4日間に販促を連続で畳みかけ、そのままお盆本番へ入る──山を単発で迎え撃つのではなく、盆前の2週間に企画を集中させて助走をつける組み立てです。逆に、お盆期間に外部の取材・イベントを盛る店も多いですが、この時期は取材が全国で集中する分、一つひとつの中身はどうしても薄まりがちです。借り物で日程を埋めるより、自社企画で「この店はお盆に本当にやる」という信頼を作る方が、9月以降に資産として残ります。
その9月についても一言。お盆の反動で悪いことは、もう分かっています。分かっているなら手は先に打てるわけで、例えば平日4日間の時間打ちをするなど、悪い月こそ、実験の月です。シルバーウィークは徹底する準備をしましょう。
年末の機械戦線は「番長と北斗」に絞られてきました
ここからが本題です。先月号で「年末にパチンコ復権の大転換が来る」とお伝えしました。その年末の機械ラインナップが、この1ヶ月で具体的に見えてきています。
結論から言うと、年末のスロットは事実上、番長の新作と北斗の新作の二枚看板に絞られそうです。現場で聞こえてくる話を総合すると、番長の新作は12月導入が有力視されており、供給も相応の規模と聞きます。北斗の新作は当初年明けと言われていたものが前倒しの方向で動いており、年内に間に合う公算が高まっています。一方で、期待されていた他の大型版権は延期が相次いでいます。有力候補と目されていた機種が軒並み年末に間に合わない。つまり、年末商戦の主役機がこの二枚に集中するわけです。
これが何を意味するか。二枚看板に注文が殺到し、取り合いになるということです。すでにその前哨戦は始まっていて、どのホールでも「機械代が跳ね上がっている」という悲鳴を聞きます。マイジャグラーの新作を筆頭に、秋の有力機で先に資金が抜かれ、そこに年末の二枚看板と、先月お伝えした固定スタート機・設定付きパチンコの投資が重なってくる。下期の機械資金計画は、例年の感覚で組むと確実にショートします。
もうひとつ、率直に言っておきたいのが「完売」という言葉との付き合い方です。年末に向けて「あの機種は完売」という情報が飛び交い始めていますが、現場の発注感覚と照らすと、どうにも符合しないケースがあります。大手ですら回答を保留している状況で完売はないだろう、と。「完売」の二文字で焦って判を押すのが一番の負けパターンです。売り文句ではなく、自店の商圏で「その機種が何台入るのか」だけを見て判断してください。パチンコ側でも、フルプライス級の価格がついた大型版権に対して「その価格帯は商圏のレートに合わない」と冷静に見送る店が増えています。この「見送る勇気」は、後述の通り数字にも裏付けがあります。
新台の7割は「平均」に届きません──持っている機械の再評価を
機械の話をもう一段。冒頭の7月の答え合わせで見た通り、新台の7割は同期の新台平均にすら届きません。これは7月がハズレ月だったという話ではなく、毎月繰り返されている構造です。版権と作り込みが揃った一部の機種に稼働が集中し、それ以外は平均未満に沈む。しかも興味深いのは、失速機を見送った店の動きです。新作を入れられなかった代わりに同シリーズの旧作・認定機を増台したら、そちらの稼働が上がったという報告があるのです。
中古市場でも同じ構図です。高騰した人気機を200万、300万で大量に買い付けた店が、では業績が上がったかというと、そうでもない。私は最近、支援先にこう申し上げています。機械はもう、それ自体では集客しません。10台を8台に減らしても客数は変わらない。ただし、ゼロにすると客数は変わる。つまり機械への投資は「客を呼ぶ攻め」ではなく「客を失わない守り」に性質が変わったのです。ゼロを1にする、失速機の代わりに手持ちの定番を厚くする──派手さはありませんが、年末の高い機械を追いかけ回すより、こちらの利回りの方が高いケースは本当に多い。それよりも集客や運用の方が大事になってますね。
年末の二枚看板は、おそらく買うべき機械です。しかしそれ以外は、「新台の7割は平均未満」という前提で一台ずつ疑ってください。先月書いた「機械の買い方サイクルの設計し直し」とは、まさにこの取捨選択のことです。
粗利の天井は下がります──「設定を入れたら、売り切る」へ
最後に、少し先の話を。固定スタート機と設定付きパチンコが本格化した先に何が起きるか。私は、パチンコの粗利率は今よりも5%は下がる未来が2年後には来ると見ています。回転数が機械で保証され、出玉が設定で担保されるなら、釘と割数で粗利を作る余地は当然狭くなる。「20円スロットは粗利率30%です」といった計画がもう立てられなくなっているのと同じことが、パチンコにも来ます。その分売上を上げていかなければです。来年以降の計画練り直しは、この前提でお願いします。
粗利の天井が下がる世界で何で戦うかと言えば、入れた設定・入れた玉を確実に稼働へ換える力です。設定は入れることが仕事ではありません。売り切ることが仕事です。仮に設定6の万枚突破率が4割という機種があるとすれば、そこに6を入れるということは、「今日この島で万枚を出します」と宣言するのと同じ投資判断です。ならば、出た台の並びに翌日も入れる、そのパターンを客が読める形で見せる、公式チャネルで事実をその日のうちに発信する──身を削って入れた設定が客に伝わらないまま回収日を迎えるのが、一番の無駄遣いです。先月の「攻めの設定・守りの設定」に一つ足すなら、「伝える設定」。ここまでやって初めて、設定は販促になります。
そしてこれをやり切るのは、結局のところ現場の責任者です。先月「店長に年収より権限を」と書きましたが、権限を渡す前提として、自店の各レートの稼働を数字で即答できるか、まずそこからです。答えられない店長に設定の権限だけ渡しても、売り切れません。「お前は今日からこのコーナーの経営者だ」と役割と目標を与える。数字を持たせる。それが権限移譲の第一歩です。
まとめ:お盆で稼ぎ、年末で勝つ
今月の要点を絞ります。
- 7月は前年比101%と想定以上の戻り。ただし前年超えはスロットと1円で、4円パチンコの構造的な弱さは不変です。
- 今年のお盆は8/13〜16が週末直結、しかも8/14に年金支給が重なる尖った山。勝負は盆前2週間の助走で決まります。借り物の取材より自社企画を。
- 年末のスロットは番長・北斗の二枚看板に集中。機械代の高騰と抱き合わせが必ず来ます。「完売」の言葉に焦らず、購入とリースの併用、旧作・認定機の活用まで含めて、下期の資金計画を今月中に引き直してください。
お盆は、年内最大の山であると同時に、年末への通過点です。お盆で稼いだ資金を、何となく秋の新台で溶かすのか、二枚看板と固定スタート時代への布石に回すのか。8月の稼ぎ方より、8月に稼いだ金の使い方で、年末の勝敗は先に決まります。
厳しい時代だからこそ、山の裏側まで設計できる店が残ります。お盆商戦の健闘を祈りつつ、その翌週にはもう、年末の機械リストを開いてください。

